連載「素顔の選手《REDSげんき》」
episode1サッカー少年の僕が影響を受けたJリーグ
武藤雄樹 9 FW
僕が子どもの頃は、ヴェルディ(川崎)がすごく好きだったかな、という印象です。
当時、全部のチームの靴があって、みんなどれかを履いていたんですが、僕はヴェルディのマスコットがついたものを履いていました。三浦知良選手とか、ヴェルディが華やかだった時代をよく覚えています。
でも帽子はジェフのものでしたね(笑)。城彰二選手(鹿児島実業高から94年にジェフユナイテッド市原加入)がすごく好きだったんです。
ヴェルディは強かったので好きでしたが、特にどこかのチームを応援していたということはないです。
僕が生まれ育った神奈川はJリーグのチームが多かったですから、ヴェルディのほかにもベルマーレ、マリノス、あとはフロンターレ(2000年J1昇格)の試合も見に行ったことがあります。国立競技場でもかなり試合をやっていましたから、周りはサッカー好きの友だちが多かったので、けっこう一緒に見に行っていました。
当たり前にJリーグがあったので、もちろんJリーガーは憧れの存在でした。選手がピッチの上で輝いている姿を見て、自分もこうなりたいとずっと思っていました。
いつも、そういう場面を想像していましたし、Jリーガーになったつもりでパフォーマンスの練習もしていました。
ほぼ妄想ですね(笑)。
当時はシュートを決めるとユニフォームを脱いで走り回る選手が多かったので(現在は警告の対象)、みんなその真似をしていました。
子どもの頃、直接Jリーガーと触れ合った記憶はないんですが、小学生のとき遠足で横浜に行ったとき、柏レイソルの選手バスが通ったことがあるんです。マリノスとの試合があったんでしょうね。
選手が乗ってる、と思ったらすごく昂奮して、そのバスを走って追いかけました。そしたらレイソルの選手が窓から手を振ってくれたんです。そのことにすごく感動しました。
今もその記憶があるので、僕もチームバスに乗っているとき、外から手を振ってくれたら手を振り返すようにしています。
うれしく思ってくれるかな、という気持ちで。
僕がJリーガーを見て、ああなりたいと思っていたように、子どもたちにとって自分がそういう存在になれたらいいな、と思っています。今でも、ファンの子どもが僕の前で「がってんポーズ」(武藤雄樹のゴール後のパフォーマンス)をしてくれるのを見ると、とてもうれしいです。
子どもたちがサッカーをやりながら、そんなポーズをしてくれていたら、これ以上ない幸せです。
プロになった若い選手が「武藤選手に憧れてサッカーを始めました」とか「プロになりました」とか言ってくれたら感動モノですね。
今でも「初めて見に行った試合で決勝ゴールを決めたのが武藤選手です」とか「最初に好きになった選手は武藤選手」と言ってくれる方もいて、それはすごくうれしいです。
これからもファン・サポーターに影響を与えられるような存在になりたいです。
武藤雄樹/1988年11月7日、
神奈川県座間市生まれ