10 2021.01.26

REDS TOMORROW
「Red Wind」

バックナンバー
掲載 #310

「REDS TOMORROW」は浦和レッズパートナーの朝日新聞社と浦和レッズが協同発行しているタブロイド紙です。
浦和レッズホームゲームの前日に朝日新聞朝刊に折り込まれます。

REDSDENKI

No.310 12.11発行

最後の3試合で意地を見せろ

サッカージャーナリスト 国吉好弘

10月には立ち直りを見せて第24節で8位にまで順位を上げ、目標であったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得も夢ではないと思わせた。ところが、11月に入って失速し、ガンバ大阪に1−2、鹿島アントラーズに0−4で連敗して順位も9位に落ち、目標達成の可能性は消えた。特に11月25日に大槻毅監督が今季限りで退任することが公表された直後の鹿島戦での完敗はいただけなかった。
前半こそ1点を失っても取り返そうというプレーも見られたが、後半に入ると球際で負け、ミスを繰り返して失点を重ねた。何より戦う姿勢に乏しかったことにはがっかりさせられた。大槻監督も試合後に「(これまでも大差で負けた試合はあったが)今日の場合は開始直後から球際を含めての戦いで、もう少しやらなきゃいけない場面が多かった。局面のバトルで残念なところが多かった」と無念さをにじませた。自らがこれまでチーム作りの基盤に据えて推し進めてきた部分が見られなかったことがショックだったのだろう。
さらに「スタジアムに来てピッチに立ったときには、1人の男として戦わなければいけないと思っていますし、そこをしっかりと表現させてあげられなかったところは僕自身が非常に残念に思っています」と自分を責めたが、そうではない。たとえ、タイトルや目標に手が届かない状況になっても、ピッチに立てば全力を尽くして戦うことはプロフェッショナルとして当然、欠いてはならない姿勢である。監督ではなく選手一人ひとり全員の責任だ。
こんな試合をしてしまったからには、残る3試合に死力を尽くす姿を見せなければならない。相手は魂のこもったプレーをする湘南ベルマーレ、チャンピオンの川崎フロンターレ、そしてペトロヴィッチ監督率いる北海道コンサドーレ札幌と、最後の意地を見せるにはうってつけだ。
ただし、激しいだけのラフプレーに走ってはならない。全力を尽くすというのは一瞬たりとも集中を切らさないで、自分の、自分たちのベストプレーを繰り返すことだ。
中でも興梠慎三ゴールを期待したい。9年連続二けた得点、歴代3位に並ぶ通算157点目に王手をかけながらここ4試合は得点がない。本人が「記録には興味がない」と語るように、特に現状では個人の記録は二の次だが、その4試合で3敗して失速したのだ。興梠が得点することがチームの勝利につながる。また記録達成も、サポーターに少しでも明るい話題を届けることになる。

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