No.392 9.19 発行
今季の命運を懸ける鹿島戦。すべてを懸けろ
サッカージャーナリスト 国吉好弘
天皇杯、YBCルヴァンカップを逃し、残る明治安田J1リーグのタイトルに向けて厳しい状況ではあるものの、気持ちを切り替え、あらためて優勝へのチャレンジに臨んだはずだった。しかし、勝たなければ苦しくなる前節のガンバ大阪戦でも敗れ、本当に優勝への可能性は首の皮一枚残すのみだ。あす20日、埼玉スタジアムでの鹿島アントラーズ戦は何が何でも勝たなければならない。
G大阪戦に向けては中島翔哉の復活、イサーク キーセ テリンの加入、渡邊凌磨、柴戸海、サミュエル グスタフソンの復帰など、マテウス サヴィオの出場停止を差し引いてもポジティブな要素が多かった。しかし、立ち上がりから積極性を欠き、プレスは効かず、全体のラインは低くなってしまった。それでも前半を0-0でしのぎ後半巻き返しを図ったが、チャンスを作り出す回数も少なく相手のクリーンシュートに沈んだ。
これまでの後半の失速とは異なり形勢は盛り返したが、一瞬の隙を突かれて失点した。入りの悪さ、終盤の粘りのなさは何度も指摘されてきたが、何よりゴールを奪えなかったことが大きな問題だろう。
中島、渡邊、小森飛絢、テリンと点の取れる選手がそろってきて、サヴィオ、金子拓郎、松尾佑介は個の力でチャンスを作れる力を発揮している。全体のボールの動かし方がスムーズな時は良い攻撃ができるのだ。悪い流れの時にリズムを変えられないことを突き詰めなければならない。勇気を持ってパスをつなぎ、積極的に前へ進むことが求められる。もっとリーダーシップを発揮する選手が出て欲しい。
鹿島戦はチケットがほぼ売り切れ、今季最多の観客が詰めかけることが見込まれている。まさに大一番で、相手は前節も湘南ベルマーレを3-0で下し6戦無敗と勢いに乗っている。鈴木優磨を軸にレオセアラ、チャヴリッチが形成する攻撃陣は強烈だ。プレー強度の高さはトップクラス、戦いの駆け引きも心得ている選手が多い。
この強敵に対してまず気持ちの面で引けを取ってはならない。1対1の争いに負けず、相手の挑発に乗ることなく、強い気持ちで、かつ冷静に戦いたい。今シーズンの命運を懸けた一戦であることは誰もが分かっている。この大一番で自分たちの真価を証明できるか、選手冥利に尽きる試合でもあるはずだ。

