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REDS TOMORROW
「Red Wind」

バックナンバー
掲載 #393~#395

「REDS TOMORROW」は浦和レッズパートナーの朝日新聞社と浦和レッズが協同発行しているタブロイド紙です。
浦和レッズホームゲームの前日に朝日新聞朝刊に折り込まれます。

REDSDENKI

No.393 10.3 発行

1年10カ月ぶりのJ1先発で柴戸海が見せた進化

杉園昌之 スポーツライター

 レッズのユニフォームを着て、明治安田J1リーグで先発メンバーに名を連ねたのは1年10カ月ぶり。守備寄りのイメージが強かったボランチの柴戸海はより洗練されて、第一線に戻ってきた。YBCルヴァンカップの準々決勝・第1戦(9月3日)でも先発出場していたが、9月27日の東京ヴェルディ戦では、それ以上にピッチで躍動。目を引いたのは、持ち前の力強いボール奪取だけではない。序盤は3列目から相手最終ラインの裏へ抜け出し、チャンスもつくった。中盤ではテンポよくパスを散らし、後ろと前をつなぐリンクマンとしても機能。本人に攻撃面の手応えを聞くと、ふっと口元を緩めた。
「楽しかったですね。隣にサミュエル(グスタフソン)がいると、シンプルにプレーする重要性がよく分かります」
 柴戸は相棒に促されるようにワンタッチ、ツータッチでぽんぽんとはたき、攻撃のリズムをつくっていた。相手に体を寄せられても、柔らかい動きでかわす。守備の局面でも球際の激しさだけではなく、しなやかにすっとボールを奪う場面もあった。左ヒザのケガで長期離脱している期間に取り組んできた成果の一つだ。リハビリ期間中にフォーカスしたのは体の動かし方。内側重心から外側重心へ。ケガ予防の意味合いもあったが、動きそのものが変わってきた。力みが取れ、無理にパワーを使わずにボールを奪う回数が増えたという。復帰後はルヴァンカップを含め、すでに6試合に出場。実戦でも新たな感覚をつかみつつある。
 公式戦で初めてスタートからボランチを組んだグスタフソンも、新しいパートナーのポテンシャルに目を細めていた。
「オフ・ザ・ボールでもアグレッシブ。ボールを奪う能力が高く、チームにバランスをもたらしてくれる。勝利は手にできなかったが、パフォーマンスは良かったと思う」
 ただ、柴戸は自らのプレーにまだまだ納得していない。東京V戦は80分で途中交代し、本人はゲーム体力の低下をひしひしと感じていた。
「前半30分前後で体がきつくなりました。今までの選手生活でも一番くらいにしんどかった。これは練習だけでは取り戻せない感覚。試合を重ねていくしかないですね。後ろで良さを出しつつ、チームを活性化していきたいと思います」
 22番が本領を発揮するのはこれから。リーグ終盤戦、楽しみが一つ増えた。

No.394 10.24 発行

渡邊凌磨のリーダーシップに期待

国吉好弘 サッカージャーナリスト

 明治安田J1リーグ前節はまさかの今季最悪と言える内容と結果で横浜F・マリノスに0-4で完敗。すでに優勝の可能性がなく、降格の危険性もない状況で、これまでプレーチャンスの少なかった選手を起用した意図は理解できるが、それがことごとく裏目に出てしまった。3連覇を目指すヴィッセル神戸に勝利を挙げ、結果的に敗れたとはいえ首位の鹿島アントラーズを圧倒したチームの面影はなかった。
 この敗戦は残る4試合をいかに戦うかを問う一戦と位置付けたい。プロフェッショナルとしてすべての試合で勝利を目指すのは当然だが、不甲斐ない試合をしてしまった後ではその覚悟をプレーで示さなければならない。横浜FM戦の後半では声を出しての応援を止めて抗議したサポーターを納得させる試合をすることがプロとしての唯一の回答だ。そのキーマンとして渡邊凌磨に期待したい。
 そもそも今シーズンに向けてキャンプからのチーム作りは明らかに渡邊を中心としていた。昨季のJ1リーグ全試合に出場し、チーム一の運動量でさまざまなポジションで献身的にプレーし大きな存在感を示した。監督の構想の中心となるのは当然といえた。しかし今季は二度の負傷もあって欠場を余儀なくされたことも多く、チーム力が安定しない一因となった
 出場した試合ではプレー面での奮闘はもちろん、積極的に声を出し、チームの士気を高める姿が目立った。今季はキャプテンに就任した関根貴大、昨年9月に復帰した原口元気(現KベールスホットVA)らとともにキャプテングループを形成しており、出場機会が限られた二人の分までチームをけん引した。特に劣勢の展開でチームを叱咤激励する姿はリーダーの資質を示していた。その姿勢をさらに高めることを期待したい。
 最後の反攻を期して臨みながら優勝争いから脱落したここ6試合でレッズの得点はわずかに1。神戸に競り勝った試合でイサークキーセテリンが決めたゴールのみ。これでは勝点を積み上げられるはずもない。この点でも渡邊にかかる期待は大きい。今季チーム最多の7得点を挙げており、横浜FM戦でもアディショナルタイムに鋭いシュートを放った。シュートのうまさ、正確さには定評がある。
 リーダーとしてチームを鼓舞するとともにゴールという結果も求めたい。その両方を果たすだけのパーソナリティ、技術とも備えていることは間違いない。

No.395 12.5 発行

中途半端だったシーズンを乗り越えて来季へ!

大住良之 サッカージャーナリスト

 あすの明治安田J1リーグ川崎フロンターレ戦で勝てば7位、引き分けなら8位が濃厚、負ければ9位の恐れも…。残留争いだけでなく優勝争いとも無縁だった2025シーズン。この最終順位が、今季のレッズを覆い続けた「中途半端感」を象徴している。
 今季は、シーズン半ばの6月に「FIFAクラブワールドカップ2025(FCWC)出場」という大きな要素があった。そのため近年にない補強を敢行し、柏レイソルからMFマテウス サヴィオを、そしてブラジルからDFダニーロ ボザを補強。日本人選手も、MF金子拓郎、MF松本泰志、FW長倉幹樹といった「即戦力」を獲得し、MF柴戸海ら期限付き移籍していた選手たちも呼び戻した。
 FCWCで1カ月半ものJリーグからの離脱があるため、4月から5月にかけて「埼スタ5連戦」という変則日程があったなか、5連勝を記録。FC町田ゼルビア、京都サンガF.C.、横浜F・マリノス、サンフレッチェ広島、東京ヴェルディと強豪を倒して2位に浮上。FCWCへの期待をかきたてた。しかしその後はJ1リーグで連勝は1回だけ。FCWCでも、世界を驚かせたサポーターの奮闘も空しく3連敗に終わった。
 そして世界と戦った経験を生かし、J1では優勝争いをしてくれるのではないかとの期待も、かなえられることはなかった。
 今季これまでのJ1を振り返ると、ホーム埼スタでは18戦して12勝3分3敗、勝点39と、現在首位の鹿島(勝ち点40)に次ぐ数字を残しながら、アウェーでは19戦して3勝8分け8敗、勝点わずか17。20チーム中13位という成績。アウェーで勝てなかったことが、「中途半端」なシーズンになってしまったことの最大の要因だった。
 しかし先週のファジアーノ岡山戦では、スタジアムの関係でサポーターの数を大きく制限されたにもかかわらず、8月以来実に116日ぶりのアウェー戦勝利。来季加入が内定している特別指定選手のFW肥田野蓮治(桐蔭横浜大学)がJ1リーグデビュー戦で決勝点を決め、ピンチもあったがGK西川周作を中心としたチーム一丸の守備で勝ちきった。
 あすは今季J1トップの67得点を誇る川崎の攻撃力をいつものような全員守備ではね返し、DF根本健太、そして肥田野ら、これからのレッズを担う若い選手たちが躍動してホームでもうひとつの勝利を飾る―。「中途半端感」を吹き飛ばす、希望あふれる最終戦を期待したい。

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REDS TOMORROW「Red Wind」バックナンバー掲載 #392