No322 06.19発行
新戦力は軒並み高評価
国吉好弘 サッカージャーナリスト
リカルド ロドリゲス監督を迎え、新体制でスタートした今季のレッズは明治安田生命J1リーグで第17節まで暫定7位、YBCルヴァンカップではベスト8へ進み、天皇杯も無事に2回戦を突破と、まずまずの結果を残している。リーグの目標であるAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得圏内(3位以内)を達成するには、さらに勝点の積み上げが必要ではあるが、リカルド監督が目指す「ボールを支配して攻撃的なサッカー」をすることが試合を重ねるとともに実践され、チームとして進歩していることが見て取れる。
戦術の浸透とともにそれを表現する選手たちの成長も感じられる。特に今季新たに加わった選手たちの活躍は好調の要因であり、新生レッズを支えている。中でも西大伍、小泉佳穂、明本考浩はチームの屋台骨を担う存在となっている。
西は右サイドバックというポジションながら安定したボールキープと、的確な動き、パス出しでチーム全体に落ち着きを与えている。小泉は中盤で下がり気味でも前線近くでプレーしても、ボールを失わず局面を変えるパスを駆使して攻撃をリード。明本は右サイドハーフでも、トップでも、そして左サイドバックでも、豊富な運動量と1対1の強さを発揮して攻守に重要な役割を果たしている。
また、中盤で伊藤敦樹、右サイドで田中達也も効果的な働きを示してチームの勝利に貢献している。そして5月から加わったキャスパー ユンカーの活躍は改めて記すまでもないだろう。シュートのうまさ、決定力の高さは特筆すべきもので、それまで欠けていたピースが埋まったかのように、加入以降の好成績を引き出した。
これらの補強は、単純に他チームと比べることができるものではないが、今季のJ1でも一番の成功と言っていいほど。さらに中断明けからは日本代表不動の右サイドバック、酒井宏樹がマルセイユから、Uー21デンマーク代表の経験もありUEFAチャンピオンズリーグでも活躍したセンターバックのアレクサンダー ショルツがFCミッティランから加わることが発表されている。二人が実力通りの働きをするならチーム力はさらにアップする。
チームにうまく溶け込めるかどうかはまだ分からないが、リカルド監督の手腕も含めて今後のレッズには楽しみしかない。今季の補強はここまででも満点に近いが、二人が活躍すればそれ以上ということになる。