24 2021.07.06

REDS TOMORROW
「Red Wind」

バックナンバー
掲載 #322~#323

「REDS TOMORROW」は浦和レッズパートナーの朝日新聞社と浦和レッズが協同発行しているタブロイド紙です。
浦和レッズホームゲームの前日に朝日新聞朝刊に折り込まれます。

REDSDENKI

No322 06.19発行

新戦力は軒並み高評価

国吉好弘 サッカージャーナリスト

リカルド ロドリゲス監督を迎え、新体制でスタートした今季のレッズは明治安田生命J1リーグで第17節まで暫定7位、YBCルヴァンカップではベスト8へ進み、天皇杯も無事に2回戦を突破と、まずまずの結果を残している。リーグの目標であるAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得圏内(3位以内)を達成するには、さらに勝点の積み上げが必要ではあるが、リカルド監督が目指す「ボールを支配して攻撃的なサッカー」をすることが試合を重ねるとともに実践され、チームとして進歩していることが見て取れる。
戦術の浸透とともにそれを表現する選手たちの成長も感じられる。特に今季新たに加わった選手たちの活躍は好調の要因であり、新生レッズを支えている。中でも西大伍、小泉佳穂、明本考浩はチームの屋台骨を担う存在となっている。
西は右サイドバックというポジションながら安定したボールキープと、的確な動き、パス出しでチーム全体に落ち着きを与えている。小泉は中盤で下がり気味でも前線近くでプレーしても、ボールを失わず局面を変えるパスを駆使して攻撃をリード。明本は右サイドハーフでも、トップでも、そして左サイドバックでも、豊富な運動量と1対1の強さを発揮して攻守に重要な役割を果たしている。
また、中盤で伊藤敦樹、右サイドで田中達也も効果的な働きを示してチームの勝利に貢献している。そして5月から加わったキャスパー ユンカーの活躍は改めて記すまでもないだろう。シュートのうまさ、決定力の高さは特筆すべきもので、それまで欠けていたピースが埋まったかのように、加入以降の好成績を引き出した。
これらの補強は、単純に他チームと比べることができるものではないが、今季のJ1でも一番の成功と言っていいほど。さらに中断明けからは日本代表不動の右サイドバック、酒井宏樹がマルセイユから、Uー21デンマーク代表の経験もありUEFAチャンピオンズリーグでも活躍したセンターバックのアレクサンダー ショルツがFCミッティランから加わることが発表されている。二人が実力通りの働きをするならチーム力はさらにアップする。
チームにうまく溶け込めるかどうかはまだ分からないが、リカルド監督の手腕も含めて今後のレッズには楽しみしかない。今季の補強はここまででも満点に近いが、二人が活躍すればそれ以上ということになる。

No323 06.28発行

必要なのは甘さの徹底的排除

飯尾篤史 スポーツライター

シーズン前半戦のホームラストゲームは悔しい敗戦となった。
埼玉スタジアムに湘南ベルマーレを迎えた明治安田生命J1リーグ第18節は、キャスパー ユンカーの2ゴールで2度のリードを奪いながら、まさかの逆転負けを喫した。
公式戦10戦無敗の記録が途絶え、ユンカーがゴールを決めた試合の不敗神話もストップした。
失点はいずれもミスによるもので、自滅に等しいが、問題はミスだけではない。
「2−1にしたあと、いくつかチャンスを作れていたので、そこで3−1にできていれば」とリカルド ロドリゲス監督も振り返ったとおりだ。
5月5日のYBCルヴァンカップの柏レイソル戦で3−3と引き分けた試合から、前述のようにチームは負け知らずだった。
しかしその間、狙い通りの戦いができたわけではない。第15節のヴィッセル神戸戦と第16節のサンフレッチェ広島戦は相手に主導権を握られ、第17節の名古屋グランパス戦は堅守を攻略する糸口を見出せなかった。
内容が芳しくなくても勝点をつかめたのは地力が付いた証だが、一方で、5月5日にデビューしたユンカーの決定力のおかげとも言える。
シーズン序盤と比べると、確かにボール支配率は高まり、ボールがリズミカルに回るようになった。しかし、だからと言って、相手にダメージを与えるような攻撃ができているだろうか。ボールがテンポ良く回ることに満足してはいないか。そこに甘さはないだろうか。
西野努テクニカルダイレクターは、「来季は必ず優勝する」と明言している。実現させるには、絶対王者である川崎フロンターレを引きずり下ろさなければならない。
そのためにはスタイルの完成度で上回り、勝利への執着心でも上回る必要があるが、ここ数年の川崎Fの強さを考えると至難の技だ。
今季の補強とチーム作りの方向性を見れば、たしかな“設計図”を手にしていることがわかる。ただ、補強して戦力を高めるだけで、リーグ優勝ができるわけでもない。
川崎Fが今季いまだに無敗なのは、王者でありながら自分たちに厳しい目を向けているからだろう。
シーズン後半戦にはオリンピック・マルセイユから日本代表DF酒井宏樹が、FCミッティランからデンマークリーグMVPのDFアレクサンダー ショルツがチームに加わる。歴戦の雄である彼らに期待したいのは、世界基準の厳しさをチームに伝えることだ。

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