29 2021.09.30

僕のヒーローは
お父さんです

連載「素顔の選手《REDSげんき》」

episode2 ぼくのヒーロー NEW
明本 考浩(あきもと たかひろ)15 MF

REDSDENKI

事をしながら話す時間が好きだった

僕が子どものころのヒーローと言えば父親、お父さんです。
仕事をしているところを見たわけではなく、普通の会社員なんですけど、朝早く家を出て、夜遅く帰って来るというのは知っていましたから、家族のためにがんばってくれているのはすごいな、と思っていました。
休みのときには遊んでもらいましたよ。家の近くの公園にもよく行きましたし、ほかにもいろいろなところに連れて行ってもらいました。
でも一番好きだったのは家で食事をしながらいろんなことを話す、そういう時間です。うちは黙って食べるだけではなく、みんなが何でも話す食事でした。そのときそのときで話題は違いますから、どんなことを話したかはあまり記憶にはありません。楽しかったことだけを覚えています。


© urawa reds

きなことをやり続けろ、と言われて

お父さんによく言われたのは「勉強しなさい」ということですね。僕はあまり言うことをきかなかったですけど(笑)。
でも、もう一つ「好きなことをやりなさい」と言ってくれたこと、「やり続けなさい」と言われたことは守ってきました。「サッカーをやるならずっとやり続けなさい」と言われて僕は、よし、サッカー選手になってやろう、と思いました。お父さんに背中を押されたと思います。
プロになりたいと強く思うようになったのは栃木SCのユースにいた、高校2年、3年のときです。そのとき、コーチから「18歳でプロになれなくても、22歳でもなれる」と言われて、大学でサッカーをやることを選択しました。サッカーを止める気持ちはまったくありませんでした。
そういう希望について両親に話したときも賛成してくれて、大学でかかるお金は出してくれました。大学を卒業して栃木SCに入ることが決まったときは、プロサッカー選手になるという僕の目標が実現したことをすごく喜んでくれました。


© urawa reds

父より大きくなりたい

栃木SCは地元のクラブですから、そこから離れて浦和レッズに移籍するときに、少し寂しさはあったかもしれませんが、浦和のような大きなクラブに行くことを喜んでくれました。お父さんから言われたのは「がんばれ」ぐらいですが。
お父さんに恩返しできるのは僕がピッチで活躍する姿を見せることだと思っていますし、それも毎試合のモチベーションにもなっています。試合の後は連絡をくれます。
子どものころに感じた、お父さんが自分のヒーローだという思いは今でも変わりませんし、僕に将来子どもができたら、その子にもそう感じてもらえるような、「親父よりもっと大きな男になりたい」と今は思っています。


© urawa reds

どもたちのヒーローになるために

プロサッカー選手を目指す子どもたちからすれば、Jリーグで活躍する選手たちはヒーローだと思いますが、今の僕はまだそういう存在にはなっていないと思っています。もっと子どもたちに夢を与えるような選手になりたいです。プロ選手をやっている以上、日本代表に入ることは目標ですし、そのためにはもっともっと技術を上げていかないといけないです。
それと子どもたちに感じて欲しいのは、身長が高くなくても関係ないということです。
僕はヘディングで負けない自信がありますが、そのために練習しました。ジャンプ力だけでなくて、跳ぶタイミングなどを身に付けてきた結果、背の高い選手にも勝てるようになりました。走る速さにも自信があります。
またレッズの小泉佳穂くんも背が高くないですが、彼は相手をかわしたり、パスの感覚や精度について非常に高い技術を身に付けています。そういうやり方もあると思います。どちらにしても自分の武器を見つけてそれを磨いていくことが大事です。
僕ももっともっとうまくなって活躍していきたいと思います。


© urawa reds

明本 考浩/1998年1月31日、
栃木県宇都宮市生まれ

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