連載「素顔の選手《REDSげんき》」
episode2 ぼくのヒーロー NEW
平野 佑一(ひらの ゆういち)40 MF
僕はヒデさん、中田英寿選手にものすごく憧れていて、小さいときから髪を切るときでも「中田英寿カットでお願いします」と言っていました。短髪で中央を少し上げる、ソフトモヒカンみたいな形です。
ヒデさんは、2006年のワールドカップドイツ大会を最後に日本代表から引退することを公言していて、グループリーグ最後のブラジル戦が終わったとき、ピッチで大の字になったところが忘れられません。その後、現役選手としても引退しました。
具体的にこのプレーがすごい、というよりはヒーローとして格好良いという感じでした。
現役選手としてまだまだ普通にやれるのに、ワールドカップが終わって、現役を引退してしまうのは、サッカー選手としてというより、引き際が人としてすごく格好良いな、と。
僕もどちらかというと、他人と違ったことが好きなんです。
引退してからも、すごく気になっています。
旅人になって世界を回り、貧しい人たちにサッカーを伝えるとか、日本だけにとどまらない価値観を吸収したいのかな、と思っていました。
最近は日本の良さを海外に伝えることや、ロンドン五輪やワールドカップブラジル大会では日本酒を紹介することもやられていました。
スタジアムで試合を見たことはないですし、もちろん直接会ったこともありません。
遠い存在、異次元の世界の存在だったので、かえって会わない方が良かったかもしれないですね。憧れのままでいます。
僕が水戸にいたときは、年に何回かクラブのサッカースクールに出向いて一緒にやっていました。いまはコロナ禍で、そういう子どもたちと直接ふれあう機会はありません。
自分が子どものころ、本物のサッカー選手が来たら興奮しましたから、自分もそういうところでは、子どもたちの憧れの的になれているのかな、という気はしています。
いまサッカーをやっている子どもたちに伝えたいのは、サッカーを全力で楽しめば、自然とサッカー以外のことでも友達ができたり、人間形成につながるものだということです。だから、ぜひサッカーを全力で楽しんでもらいたいです。
僕も浦和の子どもたち、日本の子どもたちのヒーローになりたいと思っていますが、サッカーは個人のスポーツではありません。浦和レッズを強くするということが、自分にも幸福が降りてくることです。ですからレッズでたくさんのタイトルを獲りたいと思っています。
今は川崎フロンターレや横浜F・マリノスが強いチームということになっていますが、かつて間違いなく浦和レッズが強かった時代がありました。そういう時代に戻したいですし、そういうことにチャレンジできる場所に身を置いていることが幸せだと思います。
※注
中田英寿 1977年、山梨県出身の元サッカー日本代表。Jリーグでは95年からベルマーレ平塚(現・湘南ベルマーレ)に属し、98年7月にイタリアのペルージャに移籍。以後、セリエAを中心にプレーし続け、リーグ誕生後、ヨーロッパで大きな活躍をした最初の日本人選手となった。日本代表ではワールドカップ・フランス大会、日韓大会、ドイツ大会に出場。ゲームメーカーとしてチームの中心であり続けた。2006年に現役を引退してからはサッカーの枠にとどまらないグローパルな活動を行っている。
平野 佑一/1996年3月11日、
東京都生まれ
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