連載「素顔の選手《REDSげんき》」
Episode2 ぼくのヒーロー NEW
柴戸 海(しばと かい)22 MF
子どものころ、夕方から始まるテレビのアニメ番組を見ていましたが、あこがれという感じはなかったです。でも「ちびまる子ちゃん」のまる子はおじいちゃんおばあちゃんと一緒に住んでいましたが、僕は祖父母と離れて暮らしていて、たまに遊びに行くという感じだったので、まる子は一緒に住んでいていいなあ、と思ったことがあります。おじいちゃんとまる子は別に仲がすごく良いわけではないんですが、絆みたいなものを感じていました。
「ドラえもん」の秘密の道具は欲しかったですね。「どこでもドア」は今でも欲しいです(笑)。子どものころは、恐竜がいた時代とか、昔の時代に行きたいと思っていました。今は家族で旅行するのに、遠くへすぐに行けたらいいなと思いますが、子どもが飛行機に乗るのが好きになってきたので、瞬間移動は駄目かな。
サッカーでは中澤佑二さんや中村俊輔さんにもあこがれましたが、海外ではなんと言ってもデビッド・ベッカム選手です。髪型も真似しました。小学校低学年ぐらいのとき、誰かの結婚式のときに、お父さんにワックスで髪を固めてもらいました。
マンチェスター・ユナイテッドからレアル・マドリッドに移籍しても関係ありませんでした。もともとチームとかあまりよく分からず、ベッカムが格好良かったんです。だからマンUやレアルの試合をテレビで見ることはなく、ダイジェストだけ見ていました。2002年ワールドカップのときもイングランドの試合を見ることはなかったですね。ハイライトで見るくらいでした。
グッズでは、どこかの本屋さんにマンUの選手が出てくるガチャガチャが置いてあって、ベッカムが出てくるまでやった記憶があります。ちゃんとゲットしました。
キックの真似もしましたよ。僕は小学生のころ、FKやCKを蹴っていたんですけど、FKを直接決めたことはありません。でもロングシュートは得意で、キックオフシュートはよく狙っていました。決めたこともあります。
シュートと言えば、去年の天皇杯決勝で、槙野智章選手が挙げた決勝点は、僕が打ったミドルシュートをヘディングでコースを変えて決めたものでしたが、あのときはCKからのリバウンドをダイレクトでボレーシュートしました。利き足ではない左でした。
僕は右利きですけど、何年か前に個別練習で左足のパントキックを嫌と言うほど練習していたんです。そのときはコーチに言われてやらされていた感じだったのですが、いま思えばあのときの練習があったから、あの天皇杯決勝でも迷いなく左で打てたんだと思います。右で蹴ろうとトラップする間に相手に寄られてブロックされていたら最悪でした。でもルーツをたどれば、昔のベッカムへのあこがれも影響していたのかもしれませんね。ボランチとしてああいうミドルは必要なのでどんどん打っていきたいです。
実を言うと、あのシュート、みんな「枠に行っていたよね」と言ってくれたんですが、自分では左に外れていたような気がします(笑)。槙野さんが決めてくれて良かったです。
プロになって5年目ですが、毎年成長してきている実感はあります。それは試合に出るためにどうすればいいか考えた結果ですから、試合に出られない期間があったからこその成長だと思っています。
一番に考えるのは、まだ2歳半と1歳なんですが、自分の子どもが見て尊敬できるような選手や人間でありたいということです。ですから1年でも長く選手を続けたいと思っています。
それとサッカーをやっている子どもたちが目標にしてくれるような選手になることも意識しています。僕はそんなに目立つタイプではないですが、そんな中で「柴戸海みたいになりたい」という子が出てきてくれたら、めちゃくちゃうれしいです。
柴戸 海/1995年11月24日、
神奈川県横浜市生まれ