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REDS TOMORROW
「Red Wind」

バックナンバー
掲載 #357~#359

「REDS TOMORROW」は浦和レッズパートナーの朝日新聞社と浦和レッズが協同発行しているタブロイド紙です。
浦和レッズホームゲームの前日に朝日新聞朝刊に折り込まれます。

REDSDENKI

No357 09.14発行

正念場の9月、総力戦で乗り切れ

国吉好弘 サッカージャーナリスト

浦和レッズにとって正念場ともいえる9月を迎えた。明治安田生命J1リーグでは上位陣の足踏みもあって優勝に手が届く位置をキープし、YBCルヴァンカップでも準決勝進出を決めた。20日にはAFCチャンピオンズリーグ2023/24(ACL)のグループステージがスタートする。10月、11月、さらにクラブワールドカップが控える12月とハードスケジュールが続くことになり、タイトルを獲得するためには9月の4試合のマネジメントが重要になる。
特に15日の京都サンガF.C.戦は勝点3、勝利が絶対に必要だ。現状のベストメンバーで臨みたいが、日本代表の欧州遠征に加わっている伊藤敦樹が帰国するのは13日の深夜なので、中1日でスタメン出場は難しい。さらに大久保智明が負傷離脱中で中島翔哉もガンバ大阪とのルヴァンカップ第1戦で軽度なようだが負傷した。
マチェイ スコルジャ監督にとって苦しいメンバー選考が続くが、チーム全体と個々の能力、コンディションを的確に見極めて、理にかなった采配をしているように見える。「スタッフ全員で選手たちの状態を一生懸命把握し、どの選手がプレーできるのか、どのくらい長くプレーできるのかというところも見ています」と、細心の注意を払っている。
ここ数試合でも、復調してきた小泉佳穂のプレー時間を徐々に増やすことで攻撃のリズムが生まれ、コンディションの上がってきたアレックス シャルクを起用して結果を残した。明本考浩を左右両サイドバック、サイドハーフと動かし、安居海渡は本来のボランチで役割を果たしている。岩波拓也は起用された試合で安定したプレーを見せてアレクサンダー ショルツとマリウス ホイブラーテンのバックアップへの不安をかき消した。
ハードワークが身上の京都に対して前線からのプレスが機能するかどうかがカギとなるが、チームの根幹を支える自陣の堅守は維持されており、攻撃面で個々の持ち味とコンビネーションを生かして複数得点を挙げることが望まれる。その意味でホセ カンテが決定力を発揮できるようになっているのは心強い。
京都戦を良いパフォーマンスで終えて結果も得ることができれば、ACL初戦の武漢三鎮(中国)戦はターンオーバーして乗り切り、G大阪との3連戦の最後にはメンバーを整えて臨める。厳しい9月を乗り越えタイトルへの希望をつなげたい。

No 358 09.28発行

“取るべき男たち”がゴールを重ねた意義

飯尾篤史 スポーツライター

得点力不足に苦しんでいたのが嘘(うそ)のような逆転劇だった。
敵地に乗り込んだ9月24日のガンバ大阪戦。先制点を許し、ホセ カンテのゴールで追いついたものの、そのカンテが後半に退場してしまう。
この苦しい展開でチームを救ったのは、“取るべき男たち”だった。
後半18分に投入された髙橋利樹が5分後、伊藤敦樹のクロスに頭を合わせると、髙橋と同時投入されたブライアン リンセンが後半40分にダメ押しゴールを叩き込む。逆転優勝へと望みをつなげる勝点3を、力強く引き寄せたのだ。
「なんとしても結果が欲しかったから正直、ホッとしています」
そう安堵したのは髙橋である。一方、ブライアン リンセンは「難しい展開だったが、我々は強いチームだ。本当に素晴らしいゲームだった」と胸を張った。
殊勲の男たちに共通するのは、ストライカーとしてゴールを期待されながら、ここまでなかなか結果を残せなかったことだ。
今季加入した髙橋にとって、これがレッズでの初ゴール。本職とは異なるウイング起用だったが、ダイアゴナルランで飛び込んで待望の結果を掴んでみせた。
昨夏、レッズの一員となったリンセンも、ここまで苦しんできた。加入直後に右ハムストリングを痛め、約2カ月半の離脱を余儀なくされた。今季を迎えるにあたって「今年は“本当の私”をお見せしたい」と捲土重来を期していたが、思うように出場機会を得られず、モチベーションを落とすこともあった。
だが、9月10日のYBCルヴァンカップ準々決勝第2戦のG大阪戦で2ゴールを奪うと、20日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24の武漢三鎮戦でもネットを揺らし、ようやく本来のポテンシャルを発揮し始めた。「今はコンディションが本当にいい。やっとチームを助けることができたよ」と笑顔をのぞかせた。
残り6試合で、首位との勝点差は6。優勝争いが佳境を迎えるなかで、ストライカーにゴールが生まれた意味は大きい。「チームが勢いづきますよね」と関根貴大は言う。彼らの活躍により負担が軽くなる興梠慎三も、勝負どころで結果を残すために牙を研いでいるに違いない。
それにしてもカンテである。大事な場面で退場してしまうとは……。次節は出場停止だから、まずはACLのハノイFC戦で大暴れして、チームに貢献してもらおうではないか。

No359 10.19発行

最強の2センターバックがいる幸せ。北欧コンビを見に行こう

矢内由美子 REDS TOMORROW編集長

明治安田生命J1リーグは残り5試合。浦和レッズは9位だった昨季の最終勝点45を既に上回る勝点50を手にして現在3位につけており、逆転優勝を目指している。
首位ヴィッセル神戸との勝点差は8。得点こそ昨季の29試合終了時の42得点と比べると7点少ないが、それでも逆転優勝の望みを手放さずにいられる状況にいるのは、失点が少ないからだ。
ここまで29試合でわずか22失点。現行のJ1リーグ戦になってからの歴代最少である2009年の大分トリニータの24失点をさらに下回る可能性が残されているのである。その立役者が、デンマーク人DFアレクサンダー ショルツと、ノルウェー人DFマリウス ホイブラーテンの“北欧コンビ”だ。
ショルツの凄さのひとつは、対人守備で披露する破格の強さを、ほぼノーファウルでやってしまうことだ。攻撃参加やPKでの貢献度も高い。そして、ホイブラーテン。今季途中から浦和でプレーしている28歳は、貴公子然としたルックスのイメージ通り、クレバーな守備が持ち味。読みや状況判断がとにかく素晴らしい。
この2人がスタンドをうならせたのが、8月6日の横浜F・マリノス戦だ。0-0で迎えた試合終了間際の90分、浦和は敵陣でのボールロストから相手の俊足FW3人にカウンター攻撃を受け、2対3という数的不利な状況をつくられたが、敢然と立ちはだかったのがショルツとホイブラーテンだった。まずはショルツがボールホルダーの宮市亮に寄せると、ホイブラーテンがマルコス ジュニオールとアンデルソン ロペスの間に位置して2人をケアしながら対峙。最後はホイブラーテンがボールを奪った。この試合の65分にカウンターを受けたピンチの場面で、ショルツがマルコス ジュニオールに走り勝って防いだシーンも驚異的だった。
守備で観衆をうならせられるのは、2人のコンビネーションに抜群の良さがあるからだ。そして、それが可能なのは、異なる母国語を使っているにもかかわらず、互いが互いの言葉を理解できているから。マリウスによれば「彼(ショルツ)はデンマーク語で、僕はノルウェー語でしゃべるが、スウェーデンも含めてスカンジナビア人である僕らの言語は似ていて、お互いに理解できるのです」という。
残り5試合。「Jリーグ最強の2センターバック」との評価を受けている2人が「Jリーグ史上最強」と呼ばれるようになっているとすれば、それは逆転優勝が実現した時だろう。最強の北欧コンビをぜひともスタジアムで見て欲しい。

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