72 2023.11.30

プロになるのを
支えてくれた家族と
等身大の自分で
いられる友人たち

連載「素顔の選手《REDSげんき》」

Episode4 ぼくの宝物
大久保智明(おおくぼ ともあき)21 MF

REDSDENKI

宝物というか、僕の大事なものは物ではないんです。僕、物欲とかあんまりないので。
それこそ今年ACLで優勝して金メダルをもらいましたけど、メダルよりも達成感とかの方が自分の中で響くものがありました。
今回、紹介する大事なものは、家族と友人です。

ェルディでトップ昇格できず、兄の勧めで大学へ

まず家族は、僕がプロサッカー選手になるにあたって、すごくサポートしてくれました。送り迎えや食事の部分、金銭的な支えもしてもらいました。何より、僕がプロサッカー選手を目指しているというのを最後まで、信じて支えてくれていたということにすごく感謝しています。
僕は小学生時代から東京ヴェルディのアカデミーで育ったんですが、ヴェルディユースからトップに上がることができませんでした。
高3の夏休みが始まってすぐに、日本クラブユースU-18選手権という全国大会があるんですが、それが終わった後、1週間ぐらいトップチームの練習に参加して、そこで昇格させるかどうか判断する、ということだったんですが、その大会でケガをしてしまい、トップへの練習参加もなくなって昇格の話もなしになってしまったんです。
3歳上の兄に「上がれなかった」と、泣きながら電話しました。「あんなに期待してくれて、サポートしてくれた親を裏切ってしまった」みたいなことも言ったと思います。
兄は大学でサッカーをやっていて、そのときは大学3年生で、特にレギュラーというわけではなかったんですが、すごく真剣にアドバイスしてくれました。まず「率直に言って、今のお前がプロに上がるのはクエスチョンマークだ」と言われたんです。そして「大学には本当に良い指導者もいるから、大学サッカーでもまれた方がいい。大学でもまれて目立てばプロになれるから」と勧めてくれ、それで大学への道を決めました。


© URAWA REDS

しい言葉があって、上を目指し続けられた

進学した中央大学のサッカー部にはヴェルディユースに所属していたときに練習参加していたんです。ヴェルディからも、練習に呼びたいから東京からあまり遠くには行かないで欲しいと言われて、中大に入ることにしました。結局、ヴェルディへは一度も練習に参加せず、レッズから呼ばれたんですけどね。
最初は中大でBチームだったんです。そのBチームで結果を出して喜んでいる僕に対して兄は「埋もれてるぞ、お前。Bチームで結果を出したからって、なんでそんなに喜んでるんだ」と言ってきました。かなり厳しいことを言われたんですが、それで上を目指し続けることができました。兄とは本当に仲が良くて、僕も兄を尊敬しています。兄は自分がプロ選手になれないことはわかっていて、僕に託すような気持ちだったと思います。サッカーのことだけではなくて、「お前はこういうところがダメだよ」とか言ってくれます。
父親からは人としてどうあるべきかというのを自然と教わったと思いますし、母親は負けず嫌いだったのでプロになるための姿勢みたいなことは言われました。
今はみんな1ファンとして見てくれていますから、やっぱり試合に勝つことや自分が活躍することを家族も喜んでくれます。だから、自分がピッチに立って良いプレーをし続けるところを見せていかないといけないなと思いますし、少なくともそういう姿勢は示していきたいと思っています。


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分がプロになっても変わらない仲間たち

サッカーの元チームメートで仲の良い人は何人かいるんですけど、ここで言うのはサッカーとはまったく関係のない友人グループです。
中学時代の友人5人で、男が僕を入れて3人、女が3人の6人グループなんですが、サッカー以外では、本当に唯一の友達みたいなものです。
そもそも僕は中学校のサッカー部には入っていなかったですし、授業が終わったらすぐにヴェルディジュニアユースの練習に行くので、放課後誰かと遊ぶということもありません。だから自然と学校の友達とは距離ができてしまったんですが、彼らとは学校というより地元の友達という感じなんです。6人が一緒のクラスだったことはなく、男1人は幼稚園から一緒で、もう1人の男は中3が一緒。女の子2人は中1から中3までずっと一緒で、もう1人は中3だけ一緒でした。
僕がサッカーで一番忙しかったので、集まるときには僕に合わせて予定を組んでくれたりしました。
彼らのことを一番いいな、と思うのは、僕のことをひとりの人としてみてくれていると感じるからです。僕のレッズ入りが決まった時、連絡をしてきたり、ご飯行こうよと言ってきたりする人が一気に増えたんです。そんな中で、彼ら5人は特別何か言ってくることはありませんでした。もちろん僕がプロ選手を目指しているのは知っていましたし、ずっと応援してくれていたので、「やっとだね」とは言われましたが、それ以外には何もなく、いつもどおり自然に接してくれました。


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ッカー漬けの中、リフレッシュできた

進んだ高校は全員違いました。高校時代の3年間は、2~3カ月に一度、みんなでご飯を食べに行ったりしていました。大学時代は、次の日が休みだったりすると、朝までファミリーレストランでずっと喋ってたりとかして、ふだんのサッカー漬けの生活とはまったく違う時間を過ごしました。大人になってからは、忙しくてなかなか会えていないんですけど、年末だけは確実に会いますね。
いま僕はプロになって、いろいろ特別扱いをされています。たとえば浦和のまちに出ると「大久保選手ですよね」と声をかけられます。ご飯を食べていてもそうです。
でも、地元に帰るとそうじゃなくて等身大の自分というか、何でもない自分として扱ってくれるので、自分が普通に戻れる感じがするんですよね。
付き合いはもう10年近くなります。このまま続いていくと思いますし、仮に誰かが結婚したりとかして、呼ばれたらどんなに忙しくても結婚式に顔は出したいなと思いますし、やっぱり特別な存在です。


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