連載「素顔の選手《REDSげんき》」
Episode5 ぼくの誕生日
酒井宏樹(さかい ひろき) 2 DF
子どもの頃の誕生日といえば、母が作ってくれたババロアを思い出します。僕の誕生日は4月12日で、その時期はイチゴが旬です。普通のケーキよりもババロアが好きな僕のために、母は毎年イチゴのババロアを用意してくれました。
僕は三兄弟の一番下で、8歳差と6歳差の兄がいます。年齢が離れているため、親や兄は僕のことをかわいがってくれました。毎年の誕生日やクリスマスには、サッカーボールやサッカーシューズをプレゼントとしてもらいましたが、周りの友達が持っていたゲームを買ってもらうことは少なかった記憶があります。親との約束でゲームをして遊ぶのは春休みや夏休みのような長期休暇のときだけに限られていました。心の中ではもっとゲームで遊びたいなと思っていましたが、普段はなるべく我慢していました。
プロサッカー選手として柏レイソルでキャリアをスタートした後、ヨーロッパへと渡り、異文化の中で新たな発見がたくさんありました。特に、誕生日の祝い方は目新しく、誕生日の人が自分で会場を借りて友人を招き、パーティーを開催するのが一般的です。中にはマジシャンを呼んだり、チョコレートファウンテン(溶かしたチョコレートが噴水のように流れる装置)を用意したり、派手にお祝いをする人もいます。
マルセイユ時代の誕生日は特に印象深いものでした。僕はチームメートに喜んでもらうため、練習場にお寿司のシェフを招き、新鮮な料理を振る舞っていました。これがとても好評で、僕の誕生日が近づくと「今年もシェフを呼ぶの?」とチームメートから聞かれるほどでした。そんな経験から、自分はみんなにおもてなしをするほうが好きなことに気づかされました。
2018年、28歳の誕生日はUEFAヨーロッパリーグ準々決勝ライプツィヒ戦と重なりました。その日、マルセイユのホームスタジアムは6万人を超えるサポーターで埋め尽くされ、アディショナルタイムに移籍後初ゴールを決めることができました。シュートがゴールに向かって転がって、スタジアムが歓喜に包まれる劇的な瞬間は、今も鮮明に思い出されます。
4月12日、僕は34歳の誕生日を迎えました。30代に入ってから、年齢に伴う感覚の変化はそれほど大きくありませんが、37歳頃にはまた新たな発見があるかもしれません。サッカー選手としての1年は時に早く感じることもあれば、それほどでもないと感じることもあります。サッカー選手としてのキャリアは決して長くはなく、30歳を過ぎるとベテランとして見られます。この短いキャリアの中で、結果を残すことの重要性をいつも感じています。
誕生日には、子どもから手紙をもらうことが特にうれしいです。一生懸命に書いた手紙からは、その成長が感じられます。今年の誕生日は柏レイソル対浦和レッズの試合日と重なりましたが、試合メンバーから外れたため、家族と静かに過ごしました。数日後、練習場ではマティアス監督やチームメートから祝福を受け、SNSでは多くの方からメッセージをいただきました。いつも熱い応援に心から感謝しています。誕生日を迎えるたびに、皆さんからの大きな期待を感じ、1年で最も気持ちが引き締まります。
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