連載「素顔の選手《REDSげんき》」
Episode6 ぼくのベスト3【読書編】
小泉 佳穂(こいずみ よしお)8 MF
『一瞬の風になれ』は特別な一冊です。小学5、6年生の頃、家で見つけたのがきっかけでした。本屋大賞を受賞して話題になっていたのも覚えています。陸上競技をテーマにした物語で、すぐに引き込まれました。
僕が好きなスタイルは、一人称視点の物語です。この作品もそうで、主人公の心情が生き生きと描かれ、感情移入しやすく、物語にすぐ入り込めました。登場人物の感情や情景がリアルに伝わり、読者を引き込む力があります。
『一瞬の風になれ』は3部作で、小学生の僕でも十分楽しめましたし、大人になった今でも何度も読み返しています。10回は読んだと思いますが、読むたびに新鮮な気持ちで楽しめます。
この本が心に残るのは、兄との思い出があるからです。兄が読んでいたものに興味を持ち、自然と手に取ったのがきっかけでした。今でも兄とは「最近何を読んだ?」と話し、特に『一瞬の風になれ』のシーンを日常と重ねて話すことがあります。
『一瞬の風になれ』(著:佐藤多佳子/講談社)
米澤穂信さんの作品はどれも好きですが、『いまさら翼といわれても』と『満願』は特にお気に入りです。それぞれ異なる魅力があり、僕にとって特別な作品です。
『いまさら翼といわれても』は、古典部シリーズの最新作で、高校生の日常に潜む謎を描いた学園ミステリーです。シリーズ全体が好きなので、この作品も楽しめました。特に印象に残っているのは『連峰は晴れているか』と『長い休日』という2つの短編です。
感情をあまり表に出さない主人公が見せる優しさが心に響きます。米澤さんの作品は繊細な感情描写が特徴で、長編を読んでから短編に進むと、さらに深みが増します。
もう1冊おすすめするなら『満願』です。この短編集には、重たい余韻が残る作品が多く、その魅力に引き込まれます。米澤さんの作品を読むうちに、このジャンルの面白さに気付かされました。初めての人にもおすすめです。
毎日本を読むわけではありませんが、好きな作家に出会うと一気に読みます。ここ2、3年で米澤さんにハマり、次々に手に取りました。新作も楽しみにしています。
『いまさら翼といわれても』(著:米澤穂信/KADOKAWA)
『満願』(著:米澤穂信/新潮社)
伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』も、僕にとって特に思い入れのある作品です。首相殺しの犯人に仕立て上げられた主人公の逃亡劇を描いたサスペンスで、ストーリーの展開が印象的です。中学生の頃、クラスメートに借りて読んだのがきっかけで、意外な展開に驚かされ、一気に読み終えたことを覚えています。
大人になってから映画版を観ました。映画ならではの魅力があり、作品を別の角度から楽しめました。それをきっかけにもう一度原作を読み、「人間の最大の武器は習慣と信頼だ」というセリフが物語全体に響いているのにあらためて感銘を受けました。
伊坂さんの作品には、心に残るセリフが随所に散りばめられていて、物語が進むにつれて深みが増していくのが特徴です。この作品もそうしたセリフが物語全体に大きな影響を与えています。『ゴールデンスランバー』も、何度も読み返している一冊です。
読書はあくまで趣味なので、自分に合った本に出会うことが大切だと思っています。読書を通じて人生が豊かになり、新しい本との出会いも楽しみです。
好きな本は何度も読むうちに覚えてしまいますが、少し時間を置いて読み返すとまた新鮮な気持ちで楽しめます。これからも新しい本との出会いを大切にしながら、読書の幅を広げたいと思います。
『ゴールデンスランバー』(著:伊坂幸太郎/新潮社)
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