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REDS TOMORROW
「Red Wind」

バックナンバー
掲載 #376

「REDS TOMORROW」は浦和レッズパートナーの朝日新聞社と浦和レッズが協同発行しているタブロイド紙です。
浦和レッズホームゲームの前日に朝日新聞朝刊に折り込まれます。

REDSDENKI

No.376 09.20発行

『第二次スコルジャ体制』でレッズはどう変わるか

大住良之 サッカージャーナリスト

 「非常に良いプレーから生まれた得点だったが、それはヘグモ前監督の良い仕事の結果」
 9カ月ぶりに戻ってきたマチェイ スコルジャ監督。その指揮の初戦で好調のガンバ大阪をアウェーで下した後の言葉は、彼の人柄がよく表れたものだった。昨年5月にAFCチャンピオンズリーグ決勝で3回目の優勝を飾った後にも、スコルジャ監督は決勝進出に導いた前任者リカルド ロドリゲス監督の功績を強調した。
 だが明治安田J1リーグ優勝の可能性も残す暫定5位G大阪との対戦は、けっして簡単なものではなかった。着任から1週間で重点を置いてきた守備の強化が早くも結実したものでもあった。
 2試合未消化とはいえ、「ヘグモ時代」の27試合は9勝9分9敗、得点42、失点37。失点の多さが勝点を落とす要因だった。だがこの試合のレッズは、守備時には4-4-2の組織をきれいにつくり、強力なG大阪の攻撃陣にチャンスを与えなかった。
 そうしたなかでの決勝点は、GK西川周作から始まり、8人の選手で10本のパスをつないで決めた美しいゴール。大久保智明のドリブルとスペースを生かした渡邊凌磨のプレーが光った。
 その後、スコルジャ監督は、松尾佑介、チアゴ サンタナ、前田直輝、原口元気と選手を送り出し、前線から中盤にかけての守備組織の緩みを未然に防いだ。10年ぶり復帰の原口はボランチでプレー。ボールタッチの回数も多く、チームを落ち着かせて、勝ちきる重要な要素となった。
 しかしこの試合で最も光ったのは渡邊ではなかったか。スタートポジションはトップ下。猛烈な運動量で攻守の第1歩となり、貴重なアシストも記録。安居海渡が足をつると、最後の7分間はボランチとしてそつのないプレーを見せた。これまでの全28試合に先発出場。出場時間2490分は、フルタイム2520分間の実に98.8%に当たる。その間の走行距離321.1キロは、堂々リーグトップの数字だ。
 スコルジャ監督はボールを支配して攻撃的に戦うことを好むが、就任時の12位という状況はそこにこだわることを許さない。未消化分を入れて残り10試合で順位をひとつでも上に上げることが今季の「ミッション」。今後もG大阪戦のような守備組織を重視した試合が続くだろう。派手ではなくても、しっかりと勝点を積み重ねる―。そうしたなかで、試合ごとにヒーローが入れ替わっていくのではないか。

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