連載「素顔の選手《REDSげんき》」
松本泰志(まつもと たいし)6 MF
今回は、サンフレッチェ広島時代に影響を受けた2人の選手について、松本選手に聞きました。
プロの世界に足を踏み入れてすぐ、広島で挫折を味わいました。その厳しさを最初に思い知らせてくれたのが、DF塩谷司選手でした。
高校時代はドリブルやボールキープを得意としていたものの、広島に加入してからは、これまでのプレースタイルがまったく通用しません。練習で何度もマッチアップしても塩谷選手を抜くことができず、今までのプレーがまるで通じないもどかしさを味わいました。
この経験をきっかけに、自分のスタイルを根本から見直すことになりました。ボールを長く持つのではなく、ワンタッチやツータッチを生かしたシンプルなプレーへと切り替えたんです。当初は前のほうのポジションを任されていましたが、ボランチでの起用が増え、「このスタイルで勝負しよう」と気持ちが固まりました。
塩谷選手が2017年にアル・アインへ移籍するまでの半年間、そして帰国後も、チームメートとして一緒にプレーしました。試合では後ろから支えてもらい、1対1の強さだけでなく、攻撃の起点としても頼れる存在でした。特に若手の間では「シオくんは本当にすごい」と話題になることが多く、その存在の大きさをあらためて感じさせられました。
昨年夏、MFトルガイ アルスラン選手が広島に加入してからの数カ月でも、自分のプレーは大きく変化しました。
それまでも試合には出場していましたが、彼と一緒にピッチに立つようになってからは、ボールの持ち方をさらに意識するようになりました。プレーを観察しながらまねしていくうちに、着実にレベルアップしている手応えをつかめたんです。その成長がJリーグ優秀選手賞の受賞にもつながったと思います。
初めて同じピッチに立ったとき、「こんなにうまい選手がいるんだ」と衝撃を受けました。印象的だったのはボールの持ち方だけでなく、運ぶ力、キープ力、得点力、守備力、体の強さ……すべてを兼ね備えた選手です。あれだけ何でもできる中盤の選手には、出会ったことがありませんでした。
練習では「どういうことを意識してプレーしているのか?」と直接質問し、試合後に映像を見返して「こういう場面ではこんなふうに持つのか」と細かく確認するようになりました。そうした積み重ねが、プレーの幅を広げるきっかけになったと感じています。
トルガイ選手はとても気さくで優しい人で、特に僕にはよく話しかけてくれました。こちらとしては一方的に尊敬している部分が大きかったのですが、そのおかげでいい関係を築けたと思います。
昨年のFC東京戦は忘れられません。自分が倒されて得たPKを、すでに2ゴールを決めていたトルガイ選手に譲り、彼が見事3点目を決めてJリーグ初のハットトリックを達成しました。いつも学ばせてもらっていたことに、ほんの少しでも恩返しができた気がして、うれしかったですね。
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